|
初めてだった。
あのテッド君が、こんな簡単な魔法にかかるなんて。
そして戦闘が終わり、まじまじと眺めるテッド君の寝顔も、・・・・・・初めて。
魔法によって、深い眠りに落ちたテッド君。
地面に仰向けに、くったりしている。わずかに開いた口元からは、安らかな寝息が。
(うわあ!まつげ、長い!)
目元を観て、アルドは感動する。にきび跡なんて無い、綺麗な肌。ホント、子供みたい。
(僕、テッド君の髪、好きだなあ)
ほれぼれ、みとれてしまう。
明るい茶色で、丁度良い短さの髪はくせ毛っぽくって、軽く、風にサラサラして、仲の良かった、柴犬と、何だっけ?、何かの雑種だった村のワンコを思い出させる。
そのフサフサした前髪が、全て後ろに流れて、オデコが顕わになっている。
美しい、白い額と髪の生え際。生え際。生え際。生え際・・・・・・。
アルドは急にテッドから顔を背け、自分のほっぺに両手を当て、反省のポーズ。
(ごめん、テッド君。僕は今、イケナイ事を考えていました)
フレデリカがこちらを見ている。
「そのまま、船まで運んでやったらどうだ?」
「えっ、いいの?起こさないで?!」
「疲れているんだろ。寝させてやれ・・・・・・」
と、いつも無愛想なフレデリカは、二人だけを置いて、さっさと行ってしまう。
(じゃあ、お言葉に甘えまして)
アルドにとっては小さい彼の体を持ち上げて、おんぶする。
(いいのかなあ・・・・・・。テッド君、怒るんじゃないかなあ・・・・・・)
と、ドキドキする。
その彼の心臓がもっとドキリとなった。
アルドの肩から胸に回されたテッドの両腕が、彼をきつく強く抱き締めたのだ。
テッドが悲しげに、耳元で囁く。
・・・・・・サミシイ・・・・・・。
「テッド君!」
アルドは大声をだして、跳ね起きた。
「あれ?」
目の前には、頭上からアルドの顔を覗き込む、リーダーとフレデリカの姿が。
「ようやく、起きたか・・・・・・」
フレデリカは溜息をつき、アルドの横に座る。
「お前は『混乱』した上に、『眠り』にかかってたんだ」
彼女の恐ろしいくらいの顔がアップで迫る。
「テ、テッド君は?」と、アルドが背だけ伸ばしてキョロキョロすると、
「先に行ったよ」と、フレデリカが素っ気無く答えた。
その頃。一人で悶々として、
(あんにゃろー、・・・・・・)
顔をとんでもなく真っ赤にして、ズンズンと森の小道を歩くテッドがいた。
(人の名前、何度も呼んで、どんな夢、見てたんだよ!)
ちゃんちゃん
|