10000HitGET TakaNoさんに
| カ レ Calais |
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| 二人は、湿原の異様な光景に目を見張っていた。葦が見渡す限り一面中、倒されている。まるで、巨大な物に踏み倒されたよう、そこら辺で転がり回ったよう。長く生い茂る葦がすっかり倒されて、視界が開けているのは良い。が、湿原の沼地は凍っているし、一部の葦や大地が焼き焦げているし、散々だった。 「こいつはドラゴンと戦った跡だな」 頭を掻きながらホークマンが言う。忍者がぼそりと。 「あいつ等、食われたのかな」 「そうでもないみたいだぜ。ドラゴンと派手にやり合ったみたいだけどさ」 陽は西の空にすでに落ちて、世界は、わずかな残り陽の明かりにのみ照らされている。 「戦ったけど、逃げたようだ。信じられないけどさ・・・・・・。それにほら、湿原の空気が穏やかあ、になってるだろ」 間も無く、夜の帳が降りようとしている。頑張った一日が終り、安らかな眠りの時間が湿原にも訪れる。 「きっと、あの集団にドラゴンテイマーがいたんだな。そんで、ドラゴンの怒りを静めたんだ」 ホークマンが、ちらりとカレを横目で見る。 「誰かさんが、怒らせちゃったドラゴンを」 「・・・・・・喧嘩を売っているのか・・・・・・」 ぎろりとカレが睨む。鋭く尖んがった視線が、男を突き刺す。 「完全に暗くなる前に、あいつ等を見つけるぞ」 「はいはい」 ホークマン。再び空中に舞い上がる。 「あいつ等」は、辺りがすっかり暗くなってから見つかった。暗闇の空に立ち昇る煙。先程、消されたのだろうか。未だほんのりとくすぶる焚火の煙が、有り難くも目印になった。張られたテントが目に入る。もう、休んでいるのだろう。 「腹減ったな」 「うるさい」 カレが、ぴしゃりと一蹴する。 しばらくして、テントの中から一人、人間がもぞもぞと出てきた。ランプを手に持っているので、姿が見える。 黒い髪の少年だった。その少年らしい華奢な姿に似つかわしくないような、重厚な長剣を腰に差している。 「あら、可愛いわね」 「・・・・・・お前」 一瞬、目の色を変え、言葉をもらしたカレを、平たい目をして彼は見る。 少年は葦原の中に消えると、ちょっとしてまた姿を現し、テントの中に戻っていった。 忍者は、いきなり、ホークマンの後頭部に右手を当てた。そして、彼の体を地面に押さえつけた。カレも腹ばいになり、体を低くする。 「な、な、なにっ?」 咄嗟のことにびびるホークマンの脇腹に、黙らせようとカレの拳が入った。 葦の隙間から覗く、カレの視線の先には、男がいた。百メートルも先の話だが。黒い忍び装束に身を包んだ男だった。カレは、手でホークマンをこずきながら、後退するように促す。二人は慎重に慎重に、元来た道を引き返していく。 大分、現場から離れた所で、ようやくカレが安堵の息を吐いた。湿原の小島に立つ一本の木に寄りかかって、すらりとした足を投げ出した。 「どうしたんだよ!血相を変えて!」 「あいつ、やばい。あの忍者は、かなりやばかったよ」 「さっきのおっちゃんか?」 「忍者の勘だ。あの男、かなりできる。もう少しで、気付かれていた」 ふうと息をもらしながら、カレは口を覆う頭巾の布を下げた。 湿原のひんやりとした風が、すっかり暖まった頬をなでる。 仰げば、満天の星空。見える星が余りにも多すぎて、黒い空に白い霞みがかかったようだ。昨日まで、ずっと雨であったから、こんな星空はカレも初めて見た。美しい光の煌きが、彼女を魅了する。一時だけでも、甘い空想にひたるのも良いだろう。瞬く星の彼方をしばらく眺める。 そして、この星空のように、自分の心を騒がせるような素敵なお宝と巡り会いたいと、心から思うのだった。空の星のように、光り輝く地上の星が、きっと湿原のどこかにあるのだ。 カレが独り言のようにつぶやく。 「さて。どうしようかな・・・・・・」 「まずは、飯にしないか」 真剣な表情で、ホークマンが連れに訴えた。 |